坂田 明&ちかもらち、ジム・オルークと恐山/内乱の内覧 2008
*ジム・オルークと坂田、ダーリン&クリスダーリン・グレイと僕は、共に1975年以降に文化の荒廃したアメリカで育った同世代だ。僕らが生まれた時代は、それより少し前で、偉大な映画や音楽、文化を幼少期の体験として吸収できたけれど、高校に入った頃には、“本当の価値”を持つ何かに興味を持つことや、共感できる友達がなかなか見つからなくて困るということでもあった。
当時、ダーリンと僕は、互いを知らぬまま同じ州の正反対に位置する町に住んでいて、僕らが心から愛着を感じていた、そして日に日に姿を消しつつある文化の片鱗を求めて、レコード店に通う日々を送っていた。唯一、好都合だったのは、当時はGRPのジャズ盤などが店の棚を占領しつつあり、僕らが求めるレコードを安価で入手できたことだ。エンヤから出ていた山下トリオのレコードを最初に見つけたのは、ちょうどその頃だった。そのレコードは、セシル・テイラーのLPのすぐ後ろにあったものだから、「よし、ついでに買ってみよう」と思った。坂田明のサックスには、たちまち衝撃を受けた。それは僕が今まで聴いたことのない音だった。 あえて言えば、ジミー・ライオンズを彷彿させる音だったが、それは僕が当時知っていたヨーロッパのどのサックス奏者とも違う、何か“全く別の”サウンドだった。その後、全く違う経路をたどり、僕は坂田氏の他のユニットである〈ワハハ〉の音楽を聴き、以来ますます坂田氏のことが好きになった。ダーリンと僕が数年後に初めて会った時、不意に飛び出した一つの単純な質問、「デレク・ベイリーは好き?」という言葉が、それまで平行線を辿ってきた僕らの人生を結びつけた。それから20年経った頃、僕自身はすでに忘れていたけれど、ダーリンは今でも鮮明に覚えている、運命の印のような出来事があった。彼が僕と共演するために初めてシカゴを訪れた時、僕は彼に「演奏を始める前にまずこのビデオを観ないとね」と言った。それは『はにわオールスターズ』のビデオで、その中には坂田氏もいた。つまり、ダーリンと僕が最初に共演した時から、坂田氏は僕らと一緒だったのだ。クリスは、ダーリンと僕が一緒に演奏するようになってから、「こんなドラマーがいたら音楽に変化が出て面白くなるだろうな」と思い描いていた通りのドラマーだった。ドラムの最初の巨匠と呼ばれた偉大な演奏家の時代の後には、“あの”凄いドラムを叩けるドラマーが再び出現するまでに、25年近い空白期があった。特別な演奏を通してしか、ドラムは音楽を生み出さない。才能のあるドラマーというのは、ただドラムを叩いているのではなく、何かに突き動かされてドラムを叩くのだ。初めてクリスの演奏を聴いた時、「こいつはいったいどこからやって来たんだ?」と驚いた。いかにも我々に似つかわしく、僕がクリスと初めて一緒に時間を過ごしたのは、彼が経営していた小さなレコード販売店の中だった。そこにはもちろん、坂田明のレコードが、僕が買った頃よりずっと高価な値で売られていた。それは、世界中で聴かれている音楽なのだ。
ジム・オルーク
坂田 明&ちかもらち、ジム・オルークと恐山/内乱の内覧 2008
10月 3日(金) 4日(土)
前売¥4,000 当日¥4,500
坂田 明(As,Cl,Voice)ジム・オルーク(G,Syn)ダーリン・グレイ(B)クリス・コルサーノ(Ds)
◎9/7より、チケットぴあ、新宿ピットイン(13時より、店頭販売のみ)にて、チケット前売り開始。
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