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ジャズ批評2017年9月No.199.jpg

■2017年9月号/199号NEW   

『特集』 

私の好きな一枚のジャズ・レコード PART1 

ピットインオーナー佐藤良武

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池田 篤さんの手作り辛島文雄闘病応援CD-Rジャケットです。カンパを下さった皆さまには心より感謝を申しあげます。お陰様で2000枚を越える配布となりました。



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2015年11月17日朝日新聞西部版社会覧 
ジャズピアノ巨匠 復活のスイング
















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2016年5月2日 大分合同新聞
辛島文雄帰郷ライブ 格闘中「ピアノ弾けて幸せ」






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2016年5月13日 岩手日報 風土計





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2016年5月19日 大分合同新聞 東西南北
辛島文雄



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2016年10月20日 JAZZ LIFE 12月号
五十嵐一生 meets 辛島文雄






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2017年5月9日 JAZZ JAPAN80号
辛島文雄を偲ぶ

稀代のジャズピアニスト 
ラストライブの記録

Karashima ~ジャズに生きる~ 最後の報告でございます

2016年(平成28年)秋も深まり、静かに進行するがん細胞との闘病は痛み止めの処方にもかかわらず身体的に相当厳しかったようですが、お見舞いに来られる方の励ましに何とか応えようと、時には冗談もでるほど気丈に振る舞っておりました。しかし、何といってもそのような精神状態で過ごせたのも奥様の支えが有っての事であり、奥様のご苦労も大変だったようです。その事については多くを語らぬ奥様ではありますが、その奥様も自立されている二人のご子息が心の支えになっておられるようで、辛島本人も家族には随分と感謝しておりました。その家族の温かい支えもあり、年末から年明けを迎え、更に続くファンの待つライブに向けて頑張れたのではないかと思います。

そのような日々のあるライブの日に、今日も辛いのだろうな思いながら迎えに行くと、大変にお客さんのことを気にしており、骨に転移した癌による全身の痛み、転移した肺がんの進行による息苦しさにとても動けるような体調でもなく、まして気力も湧かないなか、お客が聴きたいのであれば行こうと思うが、果たして行けるものだろうかと、じっと私たちを見つめながら、行くか行かないかは皆さんで俺の顔を見て決めてくれ、と尋ねられもしましたが、行けるか行けないかは本人次第と答えるしかなく、すべてその日次第でもありました。その頃のスケジュール記しておきます。

11月5日(土)東京・新宿 新宿ピットイン 辛島文雄クインテット
辛島文雄(Pf)、岡崎正典(Sax)、原 朋直(Tp)、荒巻茂生(B)、奥平真吾(Ds)
11月7日(月)奈川・横浜 新横浜エアジン 辛島文雄クインテット
辛島文雄(Pf)、池田 篤(Sax)、藤陵雅裕(Sax)、桜井郁雄(B)、小松伸之(Ds)
2017年(平成29年)
1月11日(水)東京・新宿 新宿ピットイン J.MASTERS
峰 厚介(Sax)、向井滋春(Tb)、原 朋直(Tp)、辛島文雄(Pf)、鈴木良雄(B)、村上 寛(Ds)
1月29日(日)埼玉・熊谷 スペース1497 池田 篤カルテット ゲスト辛島文雄
池田 篤(Sax)、熊谷泰昌(Pf)、池尻洋史(B)、浜田省吾(Ds)、辛島文雄(Pf)
2月14日(火)東京・新宿 新宿ピットイン 辛島文雄セクステット
辛島文雄(Pf)、池田 篤(Sax)、岡崎好朗(Tp)、岡崎正典(Sax)、井上陽介(B)、
高橋信之介(Ds)
2月14日はかつてのボスであるジョージ大塚(Ds)さんもお見えなり、2ndステージ目の始めに3曲演奏していただきました。そのジョージ大塚さんの演奏の後に1曲セクステットの演奏をもって自らの限界と涙し、お客様にお詫びと心よりの感謝の気持を述べ、後はバンドに託して控え室に下がりました。控え室では苦痛のためにベットに横たわりながらも彼らの演奏を楽しむように、各人のフレーズに、うん・うんとうなずきながら、1音とも聞き漏らさないような感じでおりました。演奏の途中で帰るようなこともなく、終演後は多くのお見舞いの方々とお会いになり気分的にもほぐれた様子で、帰る頃には顔色も随分良くなっていました。病院もこの日に向けて最善の治療をしてくれたのだと思います。先生も「この状態(末期がん)でピアノが弾けるのは奇跡だ」とおっしゃっていたのは聞いておりました。
本当に残念ではありますが、この日ピットインで行われた聖バレンタインデイのライブが彼の最後の演奏になりました。

2017年(平成29年)2月24日(金曜日) 午後8時30分 辛島文雄 永眠 享年68
東京慈恵会医科大学付属第三病院 905号室
奥様と二人のご子息の見守る中、酸素マスクを装着した昏睡状態のまま、静かに旅立たれました。

危篤の報に際して、前日から病院に駆けつけてくれていた池田 篤さん始め、24日は早朝にもかかわらず親しきミュージシャンや知人、生徒さんに駆けつけていただいております。日中に駆けつけていただいた何人かのミュージシャンは、その夜の仕事場で訃報に接し、演奏後は夜中にもかかわらず、辛島さんのご自宅へ弔問に駆けつけていただくなど感謝に堪えません。

葬儀は3月6日に代々幡斎場にてしめやかに行われました。

この後も幾つかのライブを予定しておりましたが、残念ながら不帰の客となりその実現に至りませんでしたが、以下はその全てを中止をすることなく追悼並びに偲ぶ会として行うことになったものです。心より御礼申し上げます。

3月9日(木)東京・吉祥寺 サムタイム 辛島文雄バーズディ・ライブ 
追悼ライブに変更しました。
池田 篤(Sax)、原 朋直(Tp)、楠井五月(B)、小松伸之(Ds)、奥平真吾(Ds)他

3月15日(水)神奈川・茅ヶ崎 ジャム・インザ・ボックス 五十嵐一生 meets 辛島文雄 
追悼ライブに変更しました
五十嵐一生(Tp)、俵山昌之(B)、片倉真由子(Pf)、奥平真吾(Ds)

4月6日(木)熊本・熊本 ロータスガーデン 奥平真吾 ULTRA MODERN JAZZ QUARTET
辛島文雄を応援するライブ 辛島文雄の来熊を願って!!
辛島文雄を偲ぶ会に変更しました。
奥平真吾(Ds)、岡 淳(Sax)、三好"3吉"功郎(Gtr)、古木佳祐(B)

4月14日(金) 沖縄・沖縄市 あしびなー 奥平真吾Special Force and more
辛島文雄を応援するコンサート 辛島文雄の来沖を願って!! 
辛島文雄を偲ぶ会に変更しました。
奥平真吾(Ds)、岡 淳(Sax)、宮川 純(Pf)、池田 篤(Sax)、古木佳祐(B) and 金城沢子(Vo)、千葉利幸(Sax)

4月15日(土) 沖縄・石垣島 舟蔵の里 奥平真吾 ULTRA MODERN JAZZ QUINTE 
辛島文雄を応援するライブ 辛島文雄の来石垣島を願って!! 
辛辛島文雄を偲ぶ会に変更しました。
奥平真吾(Ds)、岡 淳(Sax)、池田 篤(Sax)、三好"3吉"功郎(Gtr)、古木佳祐(B)

4月27日(木)東京・新宿 新宿ピットイン 2017 GOLDEN WEEK SPECIAL
辛島文雄 Special 2 day's!! My Favorite Things page1 辛島文雄を偲ぶ会に変更しました。
池田 篤(Sax)、岡崎好朗(Tp)、岡崎正典(Sax)、楠井五月(B)、小松伸之(Ds)、TOKU(Vo&Flh)、渡辺香津美(Gtr)、鈴木良雄(B)

5月4日(木)  東京・新宿 新宿ピットイン 2017 GOLDEN WEEK SPECIAL 
辛島文雄 Special 2 day's!! My Favorite Things page2 辛辛島文雄を偲ぶ会に変更しました。
池田 篤(Sax)、岡崎正典(Sax)、楠井五月(B)、井上陽介(B)、高橋信之介(Ds)、日野皓正(Tp)、本田珠也(Ds)、水橋 孝(B)、山本 剛(Pf)、原田俊太郎(Ds)
客席には早川由紀子(Pf)、片岡マミ(Vo)、Jasmine(Vo)他の多くのミュージシャンの方々もおられました。

R.I.P.
Fumio Karashima
1948~2017

2016年4月6日以降の報告です


まずは、久しくのご報告となりますことをお詫び致します。

発がん宣告から早1年5ヶ月経ちましたが、その経過に至るや担当医も驚くほどであり、前向きに頑張っている彼のもとには医師ならずとも皆様方からより一層の励ましをいただいており感謝に堪えません。その期待に添えるようまだまだ頑張ってもらいたいと思う次第でございます。


4月6日以降の病状と演奏活動を申し上げるまえに、辛島自身、熊本における震災に心痛める事も多く、熊本公演が中止になったとは云え、自らを熊本に招くために奔放していただいた方々に感謝しつつ、被災地の方々にお見舞いを申し上げると共に、一刻も早い復興を祈るばかりと申しております。それと、かの熊本城の痛ましい姿にも心痛めており、その修復協力のためのコンサートも可能な限りと思っていたようですが、もろもろの諸事情も重なりコンサートが企画のみに終わったことも残念なことでした。

震災以降の今日現在までの演奏記録です。
熊本震災による中止2箇所、体調不良による不参加1箇所ございます。
4月21日(木)熊本・Sazae GET WELL 辛島文雄 SPECIAL LIVE(震災延期)
辛島文雄(Pf)岡崎正典(Sax)楠井五月(B)香月宏文(Ds)
4月22日(金)小倉・音楽館 Twilight GET WELL 辛島文雄 SPECIAL LIVE
辛島文雄(Pf)岡崎正典(Sax)楠井五月(B)香月宏文(Ds)⇨原田迅明(Ds)
4月24日(日)別府・GAHAMA terrace Opening ceremony(震災延期)
辛島文雄(Pf)池田 篤(Sax)岡崎正典(Sax)楠井五月(B)小松伸之(Ds)
4月25日(月)大分・ブリックブロック GET WELL 辛島文雄 SPECIAL LIVE
辛島文雄(Pf)池田 篤(Sax)岡崎正典(Sax)楠井五月(B)小松伸之(Ds)
4月30日(土)新宿・新宿ピットイン GW辛島文雄スペシャルトリオ with TOKU
辛島文雄(Pf)井上陽介(B)小松伸之(Ds)ゲストTOKU(Vo&Flh)

5月1日(日)新宿・新宿ピットイン GW辛島文雄スペシャル・セクステット
辛島文雄(Pf)池田 篤(Sax)岡崎好朗(Tp)岡崎正典(Sax)楠井五月(B)高橋信之介(Ds)
5月6日(金)盛岡・すぺいん倶楽部 GET WELL 辛島文雄 SPECIAL LIVE
辛島文雄(Pf)池田 篤(Sax)岡崎正典(Sax)楠井五月(B)高橋信之介(Ds)
5月9日(月)中野・BAR ZAZIE GET WELL 辛島文雄 Duo Special
辛島文雄(Pf)岡崎正典(Sax)早川由紀子(Pf) and more
5月14日(土)六本木・Piano Bar IZUMI 片岡マミCD発売記念ライブ
片岡マミ(Vo)辛島文雄(Pf)金澤英明(B)高橋 徹(Ds)
5月26日(木)金沢・もっきりや GET WELL 辛島文雄 SPECIAL LIVE
辛島文雄(Pf)池田 篤(Sax)岡崎正典(Sax)楠井五月(B)高橋信之介(Ds)

6月6日(月)南青山・ボディ&ソウル 若井優也ソロピアノ geust 辛島文雄
若井優也(Pf)ゲスト辛島文雄(Pf)
6月23日(木)新宿・新宿ピットイン 辛島文雄CD発売記念ライブ
辛島文雄(Pf)岡崎好朗(Tp)岡崎正典(Sax)楠井五月(B)井上陽介(B)高橋信之介(Ds)
6月30日(木)新宿・新宿ピットイン 辛島文雄 meets ジョージ大塚
辛島文雄(Pf)ジョージ大塚(Ds)池田 篤(Sax)楠井五月(B)

7月2日(土)東吾妻町・はし川 三善香里コンサート ゲスト辛島文雄
時しらずージャズと和の出会う夕べー 三善香里(Vo)辛島文雄(Pf)
7月5日(火) 六本木・アルフィー 五十嵐一生 meets 辛島文雄
五十嵐一生(Tp)辛島文雄(Pf)俵山昌之(B)小松伸之(Ds)
7月9日(土)福島・MINGUS GET WELL 辛島文雄 SPECIAL LIVE By TSUKIDEN 
辛島文雄(Pf)池田 篤(Sax)岡崎正典(Sax)楠井五月(B)小松伸之(Ds)
7月18日(月/祭)新宿・新宿ピットイン オールスター・ジャムセッション
峰 厚介(Sax)向井滋春(Tb)原 朋直(Tp)辛島文雄(Pf)鈴木良雄(B)奥平真吾(Ds)
7月23日(土)三ノ宮・兵庫県立芸術文化センター オールスター・ジャムセッション
峰 厚介(Sax)向井滋春(Tb)原 朋直(Tp)辛島文雄(Pf)鈴木良雄(B)奥平真吾(Ds)          7月27日(水)蕨・アワーディライト 五十嵐一生 meets 辛島文雄
五十嵐一生(Tp)辛島文雄(Pf)俵山昌之(B)小松伸之(Ds)
7月29日(金)神奈川・茅ヶ崎 ジャム・インザ・ボックス 五十嵐一生 meets 辛島文雄         五十嵐一生(Tp)辛島文雄(Pf)俵山昌之(B)小松伸之(Ds)

8月7日(日)新宿・新宿ピットイン 辛島文雄カルテット
辛島文雄(Pf)岡崎正典(Sax)古野光昭(B)小松伸之(Ds)

9月8日(木)新宿・新宿ピットイン 辛島文雄クインテット
辛島文雄(Pf)池田 篤(Sax)岡崎正典(Sax)楠井五月(B)高橋信之介(Ds)
9月30日(金)大分・ダヴィンチ スタジオオープニング ゲスト辛島文雄

10月4日(火)お茶の水・ナルお茶の水店 山口真文Group  ゲスト辛島文雄
山口真文(Sax)楠井五月(B)小松伸之(Ds)辛島文雄(Pf)体調不良の為不参加
10月20日(木)神奈川・茅ヶ崎 ジャム・インザ・ボックス 五十嵐一生 meets 辛島文雄         五十嵐一生(Tp)辛島文雄(Pf)俵山昌之(B)石若 駿(Ds)
10月29日(土)新宿・新宿ピットイン 辛島文雄セプテット
辛島文雄(Pf)池田 篤(Sax)岡崎好朗(Tp)岡崎正典(Sax)井上陽介(B)高橋信之介(Ds)

ざっとこのような演奏活動を続けながらの闘病生活を送っていますが、その間にこれまで2回の入院をしております。

最初の入院は原因不明の足の痛みによるものです。検査の結果、比較的に病巣は大人しく一部は縮小も見られるとの診断でしたが、骨盤への転移が新たに見つかり、それが原因となり足の痛みを引き起こしていたようです。いまはその痛みを緩和する治療に専念しており、抗がん剤は体力的なことからも自主的に止めております。

2回目の入院は9月下旬に地元の大分へ仕事を兼ねて4泊5日の里帰りをしましたが、旅の疲れ、継続的な痛み止めの副作用による苦痛、プライベートにおける精神的な症状等によるものです。呼吸困難にともなう衰弱も見られたようでその体力回復のための入院措置でした。

そのため10月4日のお茶の水ナルによる山口真文(Sax)さんのライヴは参加できず、そのライヴを待っていただいた皆さまには申し訳ございませんでした。

その後は少し間をおいてなんとかライヴができるラインまで復調し、予定していた10月20日、29日と久しぶりにライヴをおこなうことができました。実際には出かけるのも相当に辛そうでしたが、それでも、これまでと同様にピアノに向かうとピアニスト魂が蘇るようです。彼らしいとてもオシャレで格好良いジャズを、時にはフリージャズも披露するなど、修羅場をくぐったベテランらしく聴くものを惹きつけて止まなかったようです。

皆さまの温かいご声援に励まされながらですが、毎演奏の度に、辛島自身から皆さまには心より感謝を申し上げたいと常々申しております。

皆さまからご指摘もあるように、何かしらライヴによってもたらされる効果が治療の役割を果たしているような気がしております。頑張ってもらいたいものです。

しばらくぶりですが、近況の報告でございます。

去る2月12日に抗がん剤治療の効果をチェックする2回目の定期診察がありました。17日の診察報告によりますと、腫瘍マーカー値が上がっており肺癌の進行がみられたとのことです。これは抗がん剤の副作用の苦しみに耐えてきた日々を思うと、かなりのショックだったようです。

そんな気持ちのなか、2月19日に来日中の故エルビン・ジョーンズ(Ds)ジャズマシーンで同朋だったパット・ラ・バーベラ(Sax)からピットインライブへのお誘いを受け、パットさんの温かい励ましもありエルビン時代の定番曲であったジョージ・アンド・ミーなど2曲を演奏しました。同朋の励ましにより演奏後は顔色も明るくなり、萎えていた気力も少し取り戻したようです。

23日にはピットインでの日野皓正(Tp)ライブにお邪魔をし、日野さんの呼びかけによりブラック・オルフェを演奏しました。音楽のチカラは不思議なもので、演奏後は気分も相当に明るくなっていたようです。本人も無意識のうちにそのチカラの恩恵にあずかったようで、実際に実感として音楽のチカラの不思議さ、凄さを語っておりました。

2月には旧知の間柄である片岡マミ(Vo)からかねてよりレコーディングの相談を受けていたものの、スケジュールの折り合いがつかず延び延びになっていたものがここに来てようやく成就、2月2日、3日の2日間にかけて収録しました。金澤英明(B)、高橋 徹(Ds)、岡 淳(Sax)と気心知れた後輩たちのサポートもあり無事に録り終えました。この週は抗がん剤治療と収録との巡り合わせが悪く、収録当日は相当に辛かったようです。しかし、いざピアノと向き合うとスイッチが入りその様は流石でした。しかしながら廻りがいくら流石と絶賛しても、当の本人は何をどのように演奏したのか、ほぼ記憶に残っていなかったようです。ピアニストとしての本能的な演奏力としか言いようのない演奏にも関わらず、ピアノを離れると、仕事を受けるに値するレベルだったのかどうか不安を覚えたのだと思います。収録後にプレイバックを一部分聴いたところでようやく安心したようです。後日に改めて全テイク聴き直してみると本人も納得できる演奏でしたとのこと、改めて流石です。長年の片岡マミさんの夢だった、その夢が叶ってとてもほのぼのとしたアルバムになりそうです。

昨年の9月にお茶の水ナルで行われた辛島文雄復帰ライブに駆けつけてくれた後輩の五十嵐一生(Tp)から、辛島さんとのDUOを収録し、すこしでもお役に立つことができればとの申し出をいただき、彼のセルフプロデュースによる収録を2月11日に済ませました。澄みきった世界を連想させるような素晴らしいできばえです。若い頃から辛島さんの背中を見て学ぶことが多かったと真摯な思いを聞かされ、辛島も心が動いたようです。共演する機会があまり多くなかったとはいえ、後輩に慕われるのも人徳かもしれません。スタンダードを中心に、五十嵐ワールドに添うピアノワークも素晴らしく、とても上質なアルバムに仕上がっています。
この2つのアルバムは近い内に発売される予定です。

それからもう一つレコーディングの報告です。昨年暮れに、高橋信之介(Ds)が長いニューヨーク生活から帰国し、辛島のピットインライブに挨拶を兼ねて現れました。その席で長い付き合いにもかかわらず、彼を起用した作品を残す機会に恵まれなかった話しにも及びました。彼からその残念極まりない気持ちを聞かされると、辛島も思うところがあり、この機にリーダー・アルバムを作る決心をしたようです。池田 篤(Sax)、岡崎好朗(Tp)、岡崎正典(Sax)、楠井五月(B)、井上陽介(B)の気心のしれたメンバーに協力を仰ぎ、ゲストに日野皓正(Tp)、渡辺香津美(Gtr)の両氏に参加していただきました。2月25日、3月1日、2日、11日の4日間にわたる収録でした。渾身の出来だと思います。
こちらも近いうちにリリースを予定しています。

3月に入るとこれまでお世話になった豊田市のキーボードや、発病後にキャンセルをせざる得なかった四日市のサラーム、名古屋のラブリーにおいて励ましのGET WELL !! ツアーを4日から8日の日程で組んでいただきました。池田 篤(Sax)、島田 剛(B)、倉田大輔(Ds)のメンバーで廻り、多くの方に来ていただき感謝です。ツアーは何かと一人では大変なので奥様も同行しております。旅帰りの9日には吉祥寺にあるサムタイムで恒例のバーズディー・ライブを開いていただき、68才の誕生日は喜びもひとしおだったようです。ラブリーの河合勝彦さま、キーボードの小澤伸一さま、サラームの熊倉正夫さま、サムタイムの宇根裕子さま、有り難うございます。

12日にはJasmine(Vo)のJust in Time Tribute to Takehisa Tanaka witn Fumio Karashima CD発売記念ライブで大阪のロイヤルホースへ出演しました。この日は大阪の名ピアニスト故田中武久さんを偲んでおこなわれたものであり、Jasmineの心のこもった歌心に寄り添う辛島の伴奏は、ひときわ美しく、多くの聴くものを惹きつけて止みませんでした。共演者の近 秀樹(Pf)、神田芳郎(B)さん有り難うございます。そして、昨年に物故されたロイヤルホースのオーナー故関 基久さんに合掌。

3月14日は新宿ピットインで本田珠也(Ds)を交えたスペシャル・セッションでした。池田 篤(Sax)、岡崎好朗(Tp)、楠井五月(B)のメンバーです。本田珠也の辛島に寄せるリスペクトに感謝です。これはあまり知られざることですが、本田珠也が辛島の元に来ることになったのは、1991年に博多で山下洋輔(Pf)、本田竹広(Pf)、辛島文雄(Pf)の3人によるコンサートがあり、その打ち上げの席で珠也のお父さんの故本田竹広さんから珠也のことを頼まれたことに端を発しています。珠也弱冠二十歳、それから十年近くにわたって否が応でもエルビン・ジョーンズ(Ds)のジャズスピリッツを実践することになり、ジャズを深め知る道しるべになったようです。ある意味、本田珠也にとって辛島文雄はジャズのもう1人の師匠のような存在かも知れません。

このところのハードワークは常人でも大変だったと思うところですが、皆さまの協力により無事に乗り越えることができました。やはりピアノを弾くと体力的にも精神的にも免疫力が上がるようです。それは端から見ていても実感するのですが、医学的にそうなのかどうかは何ともいえません。ただ油断は禁物と思う次第です。

医師の厳しい見立てよりも現実的には本人の頑張りが勝っておりますが、抗がん剤治療の合間合間に設けられた一週間のお休みの間ですら原因不明の高熱に見舞われるなど、体調も必ずしも一定でないことは事実です。

幸いにも、3月31日に次クールの抗がん剤を始めるにあたって3回目の精密検査を受けたところ、癌の進行は見られないとの事でした。本人も気持ちが明るくなっています。我々スタッフにとっても大変に喜ばしいことです。

4月21日から地元の九州へ一週間ツアーへ出かけます。その後は、恒例の新宿ピットイン・ゴールデンウィークにおける4月30日、5月1日の2ディズ、東北、北陸ツアー、片岡マミさん、五十嵐一生さんのCD発売ライブが予定されています。頑張って欲しいものです。
(一部敬称略)

2016年4月5日現在
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